ボーナスステージ開け、まだナムコ・ブランドが続きます。それだけ1980年前半の頃のナ ムコには、神憑り的な勢いとカリスマ的な人気がありました。
1982年、同じ頃発売されていたディグダグと人気を二分し、その後も大ロングセラーとな る最も偉大な自社によるアレンジ作品。それがギャラガ(GALAGA/namco 1982)です。
ギャラガは、ゼビウスやグラディウスと言った、新しいスタイルのシューティングゲーム が発売され人気を博した後でもゲームセンターの片隅に置かれ続け、長く安定した人気を 保っていたベストセラーです。70年代終わりのギャラクシアンのイメージとほとんど変わ らないクラシックな風合いは、80年代中盤に差し掛かってもまだ独特の存在感をまだ主張 していました。これを発売したナムコの担当者でも、ギャラクシアンにちょっとアレンジ を加えただけのこのシンプルなシューティングゲームがこれほどのヒットになるとは思わ なかったのではないでしょうか。
ディグダグやムーンパトロールと言ったお気に入りのゲームをやりながら、合間やゲーム 待ちの時間にこのゲームを遊ぶことがありましたが、ディグダグの回でも書いた通り、私 自身、大好きだったギャラクシアンのイメージが邪魔をして、しばらくは本腰を入れてこ のゲームをプレイすることはありませんでした。
もちろん、攻略するという意味では、アーケードゲームの基礎が十分に出来ていなかった この頃、時間的経済的にディグダグで精一杯だったという部分もありましたが、デュアル ファイターという自機がただ横に2つ並んだだけの、このゲームにおける唯一のパワーア ップ形態も、どうも格好悪く映っていたのでした。
古典シューティングのベストセラー、ムーンクレスタでは3機合体と言った形態があった りしましたが、それは好き嫌いは別として、ウルトラセブンのα・β・γ号的な捉え方で 理解が出来るのですが、デュアルファイターの形態が今ひとつデザイン的なインパクトに も欠けたのです。
最終的には、私自身もこのゲームのファンになるのですが、ギャラクシアンと似て非なる このゲームは、同社におけるヒット作をアレンジして、さらなる大ヒットに結びつけたと いう意味でも非常に特筆に値するゲームであったと言えるでしょう。
その私がこのゲームに目を奪われるようになったのは、ある常連プレイヤーの存在が関与 しています。
おそらく学年で3つ上だったでしょうか、缶ピースや本を片手にゲームセンターに現れ、 ギャラガでハイスコアをいとも簡単に叩き出す謎のプレイヤー。それが Gomita氏でした。
お互い常連であるが故に後々顔見知りにはなるのですが、この Gomita氏がギャラガをプレ イするときは、暇を見ては2P側に座り、そのプレイを鑑賞したものでした。自力ではまだ 経験がなかったのですがボーナスステージのループまで見ることが出来ました。
会話をしている内に、ギャラガのコツのようなものも耳にし、自分でもちょっと出来るか どうかやってみようとプレイしてみます。その頃、プレイ回数も少なくせいぜい20万点台 がいいところだったギャラガでしたが、攻撃的プレイで配置前に敵を殲滅することを意識 し、より集中してプレイするようになると、あまりプレイしたことのないボーナスステー ジの最終面も行けるようになり、自力でのステージループも見えるようになりました。
ここで、ギャラガというゲームを簡単に説明しておきましょう。
ギャラガは、一見ギャラクシアンのコピーゲームかパクリかと思えるほど似通ったゲーム で、自社によるギャラクシアンの発展アレンジゲームでした。固定画面のシンプルなシュ ーティングゲーム。ギャラクシアンとの大きな違いは、3面毎にチャレンジング・ステー ジと呼ばれるボーナス面が設けられていることと、デュアルファイターというパワーアッ プのフィーチャー、そして自機のエクステンドが非有限回の Every設定という部分です。
ボス編隊を順に撃ち落として高得点を得たり、ボスを倒すとその後敵が一定間弾を撃たな くなるといった基本的なところは、ギャラクシアンから継承しています。
チャレンジングステージは、敵が弾を撃って来ることもなく、あるフォーメーションで出 てくるエイリアンを如何に撃ち逃すことなく得点を加えることが出来るかというものでし た。パーフェクトで撃ち落とすと1万点のボーナス点が入り、得点を伸ばすには非常に重 要な要素を担っていました。
デュアルファイターという形態は、ボスが降りてきたときに出すトラクタービームに一旦 捕まり捕虜になった後、次回捕虜と一緒に降りてくるボスエイリアンを撃ち落とすと捕虜 が奪回できてデュアルファイターとして横に2機並び攻撃力が増すという仕掛けです。
一旦、敵に捉えられておきながら、実はそれがパワーアップの必要条件となるという、ち ょっと変わった発想でした。捕虜になっている最中は、プレイヤーの管理下にはないので、 もし最後の1機がトラクタービームに捕まってしまうと、そこでゲームオーバーになって しまうという間抜けなことになってしまいます。さらにありがちなのが捕虜の状態で降り てくる自機を撃ってしまうと、敵を撃ったのと同じ扱いになり自分で自分をやっつけてし まうというこれもまた間抜けなことになってしまうのです。
慣れてくるとデュアルファイターにするのが普通になってくるので、捕虜を撃たないよう にしてボスとゴエイだけを撃ち落とすというシチュエーションが頻発しますが、結構陥っ てしまうミスなので初心者は要注意です。余談ですが、また、これが結構ギャラリー受け してしまうことも付け加えておきましょう。人の不幸は… というところでしょうか。
デュアルファイターにして、アップした攻撃力で整列前のエイリアンを殲滅させる。これ が中級者以上の基本スタイルです。これを意識するだけでも、得点が1ランクアップしま す。デュアルファイターは、キャラクターが2機並んでしまう分、その被弾する可能性も 高く攻撃力と引き替えのマイナス条件となっているので、これを避けるためにもできるだ け攻撃される前に敵を撃ち落としておく必要があるわけです。
デュアルファイターに関しては、ギャラリー受けする高等テクニックが存在します。 それは、2機のドット絵の間に辺り判定のない部分が存在すると言うこと知っているかど うかに依ります。正確には自機の当たり判定の端の部分に辺り判定が無いことから生じま す。
ゲームのほとんどは、見かけ上の感覚と一致させるために、当たり判定を実際のキャラク ターより若干小さく設定するのが一つの作り方です。そのために、デュアルファイターの 中央に当たり判定のない部分が出来、上級者は追いつめられたときにこの中央に弾を突き 抜けさせることで被弾を免れるのです。初心者でも偶然できたりしますが、上級者はこれ を意識的に行うことが出来ます。
さらに、驚くことに、敵エイリアンの羽根の部分も当たり判定が無いことを利用して、エ イリアン自体もこのデュアルファイターの間を通すことが可能なのです。弾は針状なので 直感的に通せるような気がしますが、大きさのあるエイリアンにもこの技が有効であるこ とを知ると結構驚きます。よく、大道芸などという言葉を使うことがありますが、シンプ ルなギャラガでもこのようなギャラリー受けするプレイを見せることが可能です。
私も、ディグダグに続いてギャラガでも100万点といった大台に乗せることが出来るよう になり、時間的にもかなり遊んだという実感を感じるまでになりましたが、ギャラガの究 極の姿というのは、まだ見ていませんでした。
そして、先ほど紹介した Gomita氏は、通常のプレイで既にこのレベルに達していたのでし た。
当時のゲーム機というのは、ハードウェア的に8ビットを基準とする部品でコンピュータ で構成されており、2の8乗である256という数字が一種のキーナンバーになっていまし た。そして、このギャラガではその256という数字が持つ意味を肌で感じることになりま す。話が前後しますが、前回のゼビウスのストックの限界数もこの8ビット機の仕様に依 存する現象です。
ギャラガは、あるレベルまで進んでいくと面の構成も繰り返しになりますが、敵の攻撃ス ピードも頭打ちになります。そのレベルで安定したプレイが出来るようになれば究極を目 指す技術が身に付いてきたことになります。
ディグダグ同様、ギャラガでも100万点を越えると同じ様な現象になり、スコアは0に戻っ てエクステンドも止まります。そうなると究極を目指すには、100万点までに如何にミスを 少なく乗り越えてくるかが大きなポイントとなります。後述のグラディウスのようなハマ リの要素の少ないギャラガでは、ラスト1機だけでも数百万点を出すことは現実的な意味 を持ちますが、ストックがあるかないかではやはり心理的な意味で不利になるので上級者 でもこの辺は重要なポイントです。
結論から言えば、Gomita氏によれば、ギャラガには終わりがあるということでした。
ある日、Gomita氏がプレイするので、様子を見ながら2P側に座り、100万点を越えた辺り からじっくり観察することにしました。Gomita氏のプレイは実に安定していて、面数を積 み重ねていき、スコアも2周つまり200万点をあっさり越えていきました。
面数も100面、200面と進み、あっけにとられていましたが、点数が300万点くらいに迫ると そろそろ終わりだと言います。そして、スコアも300万点を越え、問題の255面にさしかか りました。計算すると分かりますが、255面はボーナスステージです。何が起こるのか?
255面が終わったと思った次の瞬間、画面には0面と表示され、ボン!というと共に画面が リセットされたのです。0面の意味は、2進数的な意味での実質256面の表示でした。
当時ナムコのゲームは電源を入れると、白い格子状の画面が出て立ち上がったのですが、 それと同じ状況が勝手に起こっていたのです。すなわち電源を入れ直した状態と同じなの で、1Pの表示はおろかハイスコア表示の99万点も一緒に何もなかったように消え去り ました。究極のプレイの後には、証拠が残らない。すなわち、スーパープレイヤーがその ゲームセンターにいてもこのことを知らなければ、そういうプレイが達成されていても分 からないわけです。
何ともあっけないハードウェア的な限界による終幕に驚きましたが、同時にこれが目指す べき最終目標だとも思いました。256面クリア、それがギャラガ・プレイヤーにおけるス テイタスだ、と。
また、このレベルに達したプレイヤーは、わざとデュアルファイターにせずに256面リセ ットを狙っていたと言うからまた驚きです。どんなゲームでも貪欲なプレイヤーは、次な る挑戦を設定していくものなのです。シングルの方が避けやすいというのは、確かにそう ですが、シューティングの基本が出来ていないと出来ない技です。
結局、その後最高目標達成の寸前240面台を数回出して私とギャラガとの付き合いは事実上 終わりを告げます。下手なプレイヤーではないものの、まだまだギャラガに関しては、鍛 え方が甘かったようでした。しかし、それでも自分としてはそれなりに満足できるレベル まで持って行けたと思います。もちろん、もし、どこかでギャラガを見るようなことでも あれば、再度256面クリアにチェレンジしてみたいと思いますが…。
多くのゲームがそうであるようにギャラガにも怪現象が存在します。例えば、ゼビウス同 様、1P側と2P側のゲーム性が若干異なります、敵の出す弾の軌跡が若干違い、簡単に 言えば流れるのです。従って、たまに2Pで遊んでいて、普通に1P側と同じ様な感覚で プレイしていると自分の思いとは別に簡単にやられて腑に落ちないことがありますが、こ れは弾の流れが自分のイメージと異なる為なのです。そういうこともあって、わざわざ2 P側でどれだけスコアが出せるかということにチャレンジしたりもしました。
外部からの情報では、有名なギャラガの永久パターンがありました。これは、ある条件で エイリアンを1匹残して、弾を撃たなくなるまで粘ると、その後面をクリアしていっても ずっと弾を撃たなくなるという現象で、エイリアンにぶつかりさえしなければ簡単にハイ スコアが叩き出せるという技でした。
ギャラガの人気も落ち着き雑誌のハイスコア欄もゼビウス一色になる頃に、ある信じられ ないような文字を目にします。
それは、「ギャラガ、1000万点」。
このゲームは、255面で終了。どんなに効率よく得点していっても物理的に無理なのでは と思えるその点数は、嘘ではないかとも思えましたが、実際には誌上で何度も目にし、出 しているプレイヤーも有名なプレイヤーだったので何かの方法で出せたのでしょう。もし かすると2P側が関係しているのでしょうか。
結局、我々の中ではこの謎は解明されないままでしたが、そういった部分も含めてギャラ ガは想像以上の息の長いゲームになっていたのだと思います。
ギャラクシアンの亜流と思われたギャラガは、古典シューティングのスタンダードとして 確固たる地位を築き、一見さんからゲームマニアまでを満足させる、幅広いプレイヤーに 愛された作品でした。
2002.04.24(ed.4)
2002.03.27(ed.1)