任天堂といえば、古くはトランプ・花札、ゲームウォッチなのどのエレメカ、最近ではフ ァミリーコンピュータから始まるコンシューマ機でゲーム業界とは非常に縁の深いメーカ ーですが、1980年代にはしっかりアーケードゲームも作っていて、アンダーライセンスな がらドンキーコングなど既にヒット作も世に送りだしていました。
当時、VS筐体を使用したテニスゲームなどで独自色を出していた任天堂は、新たに1つの 筐体で2人協力プレイできるというスタイルのゲームを世に送りだしてきました。国民的 コンシューマソフト、スーパーマリオブラザースの元になったタイトルのそのゲーム、そ れがマリオブラザース(Mario Bros./NINTENDO 1982)です。
このゲームは、通常テレビゲームで2人プレイというと、交互にソロプレイを遊ぶといっ た形態であったのを、同じ画面上に2人のキャラクターが同時に出て一緒に遊ぶという画 期的なスタイルを提示したゲームであり、またその狙い通りそれが最大の売りとなりまし た。
マリオブラザースは、固定画面のキャラクターアクションゲームで、パターン化の出来る ゲームでしたが、普通にプレイしてもかなり面白く完成度の高いゲームだったと思います。
主人公のマリオはドンキーコング以来、任天堂の顔となったお馴染みのキャラクターです が、この主人公が画面上のカメやカニ達を全てやっつけると面クリアとなり、次の面に進 むことが出来るゲームで、画面構成も数面毎にボーナスステージがあり、エクステンドも 2万点Everyと、当時の流行を踏襲した作りになっていました。2万点Everyというのは、 当時のナムコやコナミの同じスタイルのゲームと直接比較すると非常に幅が狭い感じがし ますが、実際このゲームをやり込んだ者としては、適切な設定だったという感じがしてい ます。
画面は、横からの視点で床が数段配置してあり、数カ所の切れ目からジャンプして上下に 移動できるようになっています。敵は上部の配管から現れると床を横に移動しながら下へ 下へと降りてきます。また、殺されずに最下部まで到達した敵は下の配管の中に消え、ま た再度上部に戻って再び現れます。固定画面ですが、左右は繋がっているイメージであり、 右へ消えたキャラクターはそのまま左からまた現れます。マリオ達に限っては最下部でも 同様です。
画面中央切れた部分のやや下の方、マリオの1キャラぐらい上にはPOWと書かれた部分があ ります。これは、1人に付き3回まで使うことが出来る緊急避難用のアイテムで、下から 突き上げると画面上の敵が一斉に気絶します。3回使うと消滅し、死ぬまでこれは再生し ないので、有効に使うことが迫られますが、ケチって逆に使わず仕舞いと言ったこともし ばしばです。
このPOWは、左右からジャンプして飛び越えることもできます。敵に追いつめられたとき、 不用意に使わないようにジャンプするときはそうするか、または上に乗ることが可能です。 この位置は、敵キャラクターの及ばないちょっとした安全地帯ですが、ファイヤーボール に対しては有効ではありません。
敵は、最初スピードものろいカメが出てきます。敵をやっつけるには、まず敵が歩いてい る床を下からジャンプして突き上げ気絶させ、その後直に蹴り飛ばすといった2段階の手 順を踏みます。蹴り飛ばすのは、気絶しているときに単に敵キャラクターに触れれば大丈 夫です。敵をやっつけると、配管からコインが落ちてきます。これを取ると点数になりま す。
ただし、一度気絶した敵は、起きあがると怒った状態になり、スピードアップします。気 絶させた敵は即座にやっつけてしまうことがクリアへの近道です。(結構ありがちなのは POWを使った後に全滅しきれずに、一部の敵が起きあがってしまうことでしょうか)また、 敵が最後の1匹になるとやはりスピードアップします。残っている敵の数を把握していな いと突然やられてしまうので要注意です。
その次に出てくるカニは、1回の突き上げでは気絶せず、2回目の突き上げでようやく気 絶しやっつけることができます。気絶後何もせずに放っておくと敵は色が変わって怒った 状態になり、かなりスピードが増します。
有効な手段としては、カニの進行方向に構えて、突き上げる際にカニのやや前方を狙うこ とです。こうすることで、突き上げると同時にややカニを押し戻すということが出来、再 び進んできたカニに2発目を食らわすことが出来るからです。真下から突き上げると、こ れが間に合いません。逃したカニは、マリオの居る段に降りてくるので、すぐ逃げるかま たジャンプで交わすように構えます。
カメの場合もそうですが、敵のどの部分、前方か中央か後方かを突き上げるかによって、 敵の気絶する位置が異なってくるので、これを逆にうまく利用するのがテクニックとなり ます。床の端ならば気絶させると同時に下に落とし上に上がらずにこれを倒すことが出来 たりします。また、敵が2匹以上重なったときには、その位置関係を考えて動きをコント ロールするのです。
3番目に出てくる敵は、羽根の付いたキャラクターで、カメやカニと違って、ゆっくりジ ャンプを繰り返しながら降りてきます。これがちょっとやっかいもので、宙に浮いている ときは下から突き上げることが出来ませんから、敵の着地を見てタイミング良く気絶させ ます。
このゲームは、基本的に横方向に移動するゲームなので、床の上で敵に遭遇すると、反対 に逃げるか、またジャンプで上を飛び越えて反対側へ行くしかありません。特に2匹の敵 に挟まれた場合には、嫌でもジャンプする必要があるのでテクニックを磨く必要がありま す。羽根の付いたキャラクターに限っては、飛んでいるときなら下を潜ることが出来ます。
基本的にはこの3種類がライバルと言うことになりますが、時間が経つとファイヤーボー ルが上から現れ空中を彷徨い始めます。これには2種類あって、同じ段に居るとその段に 現れる2つの青いファイヤーボールと最上段から現れ、一定の軌道を彷徨う赤いファイヤ ーボールがあります。特に赤い方は床と無関係な動きをするので、クリアに長引いてしま うとちょっとやっかいです。ただ、このファイヤーボールも、床に接地したときには生き 物と同じようにして消すことが可能です。
ただ、赤い方は一旦この方法で消すとその後再生した後には凄いスピードで迫ってきます。 実はこれで点数を稼ぐといった半永久パターンもあるのですが、その速さ故、かなりのテ クニックを必要とするので、初級者があまり真似をすると怪我をします。
このゲームは、出てきた敵を片っ端からやっつけていき、なるべく下で追い込まれないよ うに上に攻め上げていくのがよいのですが、後半の面に行くに従ってそうもいかなくなり ます。
その一つの要因に、滑る床があります。もともとマリオの動きに若干の慣性が付けてあり、 滑るような感覚のこのゲームに、さらにスリップを助長させるキャラクターが出てくるの です。
後半の面では、生き物に混じって氷のようなキャラクターが出てきます。これが、下に降 りてきてある床の中央で止まったかと思うと、その床を凍らせます。凍った床は滑るので 細かな操作が非常にやりにくくなります。
最初の方は、マリオも思い通りに操作できますが、滑る面では、止まるまでスリップして かなりタイムラグが発生するので、止まったつもりでも敵にやられることが多くなります。 氷も同じ様な方法でやっつけることは出来ますが、クリアの条件とは無関係のこのキャラ クターにあまり拘っていると話が先に進まないので、状況に応じてと言うことになります。
さらに、凍った滑る床に加えて、今度は氷柱が上から襲ってきます。この辺になると、ル ープも見えてくる面数なのですが、それだけに難易度がピークに達しています。氷柱は、 最上段の床か上の配管に付き始めこれが成長した後、下に落ちてきます。これにより、比 較的安全だった最下段左右の端もずっと居ることが困難になり難易度が格段に増します。
横方向に移動してくる敵に加えて、空中を彷徨うファイヤーボール、さらに上から真っ直 ぐ下に落ちてくるのが氷柱で、これはまず最上部にそのときのマリオの居る座標に合わせ て氷柱が出来始めて、ある大きさになると下に落ちてきます。この落ちてくるタイミング をうまく見ておかないと餌食になります。当然横からは敵が迫って来るので、複合攻撃的 に追いつめられて死ぬことが多くなります。しかも、床が滑るのです。微調整がうまくい かず、氷柱がグサリということも結構あります。
POWを使うとこの間に敵を一掃できますが、氷柱だけは無条件に下に落ちてくるだけなので、 注意しなければなりません。上段の下までマリオが攻め上がっていれば、出来始めの氷柱 はジャンプでその水滴を消すことが出来ます。ただし、すぐ次の氷柱が出来始めるので、 緊急避難的に潰すくらいでしょうか。
高次元面では、この氷柱の存在により、嫌でも長期決戦を強いられます。マリオブラザー スは、上級者にとっては忍耐のゲームであるといえるかも知れません。また、パターン化 のためにはかなり繊細かつ正確なレバー裁きが要求されるゲームでもあります。
出来るだけ早く敵を倒していった方が有利なので、初動で最初に出てくる数匹の敵を倒す パターンを如何に正確に行うことが出来るかは、重要なとてもカギです。これが成功する としないとでは、後のゲーム展開に雲泥の差が出来るからです。
一息付けるボーナスステージは、通常のステージ中にコインが吊され並んでいる画面で、 時間内にどれだけ取れるかという横から見たドットイートみたいなものです。効率よく取 らないとパーフェクトを逃します。このボーナスステージも、凍る床、さらに消える床と 徐々に難しくなります。コインの配置は一定なので、序盤の床が最後まで見えている時に どの辺でジャンプして上に上がっていくかという感覚を付けておいて、床が消えても思い 通り動けるようにしておく必要があります。
マリブラザースは、通常のキャラクターアクションとしても面白いゲームだったので、私 自身何処まで行くけるかよくチャレンジしていたものでした。しかしながら、このゲーム の本当の面白さは2人同時プレイになってから見えてきます。
多くのこのゲームファンと同様、私もソロプレイと同じくらい2人同時プレイで遊んだも のでしたが、2人でプレイしても出てくる敵の数は同じなので、協力してやっつけていく と最初の方はあっと言う間に面クリアとなります。しかし、それも序盤に限ったことです。 後半は、やっかいなキャラクターも増え、床は滑る、氷柱は落ちてくるで、パニックに陥 ります。
そしてそのパニックの一因となるが、意外にも相棒の存在なのです。
逃げようにも「隣を見たら、ルイージがいた。」とか「下に降りようとしたら、マリオが ジャンプしてきた」とか、お互い自由な行動が出来なくなり、むしろ身内に半ば殺される ような羽目になることも多々出てきます。
そして、ある瞬間から協力プレイが殺戮プレイに一転します。
もちろん、やっている当人同士は笑いながらプレイしているのですが、お互いがお互いを 追いつめて袋小路に追いやったり、下に降りられないようにジャンプで突き上げてみたり 、じっとしているところを真下からちょっかい出してみたり、果ては意味もなくPOWを消費 してみたりと、半ばじゃれ合い殺し合いの様相を呈してきます。
そうなるとゲームオーバーはあっと言う間です。しかし、実際の戦いはそこから始まりま す。
「もう1回やろう。」
マリオブラザースでは、このことが対決を意味します。
今度は、最初の1面から、マリオvsルイージの戦いが始まります。そして泥沼のインサー ト・コイン劇場が暫く続くのです。やられた方は悔しいと再試合を申し出、またすごくギ ャラリー受けするこの内輪もめとも言える戦いは、周りからも囃し立てられ、そして二度 三度と場を沸かせます。
プレイしている方は、あっと言う間にお金がすり減っていくのでたまったものではありま せんが、プレイしている方も腹を抱えるほど可笑しいのでついつい周りに乗せられてしま います。これほど、愉快なゲームは恐らく過去に無かったのではないかと言えるほどの盛 り上がり様でした。
この遊び方を知ってからは、ソロプレイ、2人協力プレイ、2人対決プレイと楽しみ方に も幅が広がり、マリオブラザースはさらに我々の心に強く残るゲームになりました。VSテ ニス、VSバルーンファイトといった一連のシリーズを世に送りだした任天堂ですが、もし かすると、このゲームにもこっそりと見えないVSシステムを組み込んでいたのでしょうか?
誰もが体験したと思われる、マリオvsルイージの抱腹絶倒タイマンプレイ。マリオブラザ ースは、完成度の高いキャラクターアクションゲームと言うだけでなく、究極のVSシステ ムを盛り込んだ、多様な遊び方の出来る名作でした。
2002.04.24(ed.3)
2002.03.30(ed.1)