80年代前半、アーケードメーカーと言えば、タイトー、ナムコ、コナミ、そしてセガ、こ れが4大ブランドでした。カプコンは、まだありませんでしたし、これにデータイースト (DECO)を加えて5大ブランドとしてもよいでしょう。(#ニチブツ、サン電子、テーカ ン、SNK等々、納得がいかない方は適宜置き換えて下さい。(笑))
セガと言えば、古くはコアランドテクノロジー開発のアクションパズルの名作ペンゴがあ ります。私もペンゴはよくプレイしましたが、面白いと思うと同時に苦手なゲームでもあ りました。ペンゴにしても、アップンダウンにしても、今回紹介するフリッキー(Flicky /SEGA 1984)にしても、セガのゲームは操作感に癖がある。そういう印象が強いメーカ ーでした。
そういうわけで苦手意識のあるセガの作品群でしたが、このフリッキーだけはセガ作品の 中で、初めて納得のいくところまで到達したゲームでした。
透き通るような綺麗な色使いとデザイン、女性をも引きつける愛らしいキャラクター、テ ンポのよいゲーム展開、操作性には癖がありましたが、このゲームを遊び始めてからすぐ にこのゲームの虜になりました。
フリッキーは、完全パターンゲームでしたが、面パターンが数十面と沢山用意されていた ためすぐに飽きてしまうといったことはありませんでした。
また、既に経験している面でも、より良いパターンを作るといった、パターン作成ゲーム の基本的な面白さを感じさせるゲームです。逆に完全パターンゲームと言えるので、パタ ーンが完成してしまえば、あとはスコアアタックのみとなってしまいますが、ゲームの雰 囲気がいいので意外にすぐ飽きてしまうと言うこともありません。
フリッキーは、青い親鳥がひよこの様な黄色い小鳥をお家に連れ戻すといった設定のゲー ムで、画面が開くと、決まった位置に宙に浮くようにひよこ達が配置されています。また 画面内は邪魔になるよな、時には迷路のような壁で仕切ってあり、それぞれの面に特徴が あります。
親鳥は、面毎に決まった位置にある扉から出てきて、すべてのひよこを連れ帰ることが出 来れば面クリアとなります。一度に連れ戻さなくてもかまいませんが、その方が点数は高 くなります。また、クリア時のタイムによりボーナス点が入ります。3面毎に画面デザイ ンが変わり、またその間にボーナスステージも設けられている伝統的スタイルで、エクス テンドは、有限回に設定されています。
親鳥は、レバーに加えてジャンプボタンで空中を飛び回り、敵をかわしながらひよこを回 収していきます。細かな知識としては、一旦空中に跳んだ後、次回着地する前に先行入力 でジャンプボタンを押してから2回目のジャンプをすると通常よりより高く跳べるといっ たフィーチャーがありました。これは、高次元で微妙な高さのある壁に対してのジャンプ のときに必要なテクニックとなっていました。
基本的には、表示されている一画面の広さですが、左右が連続で繋がっているイメージで 自由にスクロールします。幾何的にうまくデザインされている感じもします。その狭くて 広い空間を、敵キャラクターである2匹の猫とチョロという1匹の小さなすばしこい虫の ようなものが邪魔してきます。親鳥と猫たちとの追い掛け合い、アメリカ製のカートゥー ンにも似たドタバタ感も少しあります。
たった3匹しかいない敵ですが、迷路状になっている局所的に狭くなっていたり、袋小路 になっていたりする面では、これがかなり強敵となります。猫は、基本的に親鳥をめがけ てひたすら追い掛けてきます。場合によっては、近い方に方向転換もします。これは、左 右に画面が繋がっているせいです。チョロも同様ですが触れるとミスとなります。
また、親鳥はひよこに触れるとこれを何匹も引き連れて動くことになります。この状態で 扉に戻ればそのひよこ達を帰すことが出来ます。猫は、親鳥に触れなくてもこの引き連れ ているひよこに触れると、そこから後ろのひよこは分断されて画面下に落ちていきそこを うろうろするようになります。最初は、空中に制止しているひよこは一旦こうなってしま うと、右に左にと捕再度まえるのに手こずります。ひよこには、2種類あり、サングラス をかけているひよこは、このときちょっと違う動きをします。
サングラスをかけたひよこは、ひねくれた動きをするので身内では、グレたひよこという 呼び方をされていました。
チョロは、排水溝のような所から現れ、ある決まった道筋で画面内を動き回ります。ひよ こには影響を及ぼしませんが、床と無関係に動きまた非常に速いため、面クリアのパター ンが出来るまでは意外とやられることの多い敵キャラです。この敵キャラのために、パタ ーンを改造することに至るといったこともあります。
親鳥は、この敵に対して、面毎にそれぞれ配置してある、投げることの出来るアイテムを 利用しこれをやっつけることが出来ます。やっつけられた敵は、ダイヤモンドになります。 親鳥はこれを回収すると得点することができます。
このため、繰り返し出てくる敵キャラでの永久パターンを阻止するために、防止キャラク ターもしっかり設けてありました。これは、ある時間経つと画面上の背景にデザインされ た窓に現れ親鳥に向かって攻撃を仕掛けてきます。
ボーナスステージは、落ちてくるひよこを親鳥が何匹回収できるかをプレイするもので、 これが4セット落ちてくる当時よくあった基本的な構成のものでした。この面では、親鳥 がある高さの床の上に居ましたが、画面の隅っこからその下に落ちることが出来るという、 バグとも仕様ともつかない技もありました。実際これで取りやすくなる面もあるので、仕 様だったかも知れません。
フリッキーは、パターン作りが面白いゲームで、面毎にどれだけ速いタイムでクリアして 行くことが出来るかを争うゲームです。それは、すなわちタイムボーナスに反映されスコ アに反映されました。最終的には、20秒を切る2万点パターンを如何に作れるかと言うこ とになります。
面によっては、物理的に2万点パターンが出来なくて1万点パターンに落ち着く場合もあ りましたが、新しい面を見たいと安全にクリアしていくことと、既知の面の完全なパター ン化の模索でこのゲームは楽しむことが出来ました。
このゲームが流行っていた頃、パターン化ゲームではよくあることですが、2人でプレイ することが非常に多かったです。そして、専門学校生のI君やYSL氏などとフリッキーを遊 んでいると、ある面のクリア時に背景と思われた窓から何やらペンゴと思われるキャラク ターが突然顔を現しました。
ナムコのギャルボスやスペシャルフラッグ同様、セガでも代表的キャラクターのペンゴを 新しいゲームに意味もなく登場させるといったお遊びはアップンダウンで既に見られてお り、この時期ちょっとした制作者側のお遊びとしてある種流行でもありました。
しかし、アップンダウンのときに背景に姿を現していたペンゴは、このゲームでは必ず出 る物ではなく、またある種の特別なボーナス点を意味する物であったのです。一種の隠れ キャラクターとも言えるこのフィーチャーは、当初なぜ出るのか解明されませんでした。
ところが、このゲームを攻略していくに従って出る頻度も高くなり同じ面だけで出ること も分かります。また、ペンゴ以外にもこの種のボーナスキャラがあることも徐々に見えて きます。そして、これがある区間の面のクリアタイムが決められたタイム以内であれば、 ミスかどうかに関わらず出現し、破格のボーナス点をもらえることが分かっていきました。
そして、最後のラウンド・クールの隠れボーナスキャラの配点は、なんと100万点にもなっ ていました。その前には50万点キャラもあり、この時代のゲームとしてはトータルすると とてつもなく大きいボーナス点です。
ゼビウスの1000万点フィーバーの後、何を勘違いしたか、とりあえず高得点を出せること が快感であるというような風潮が見られていました。そして、そのことは実力と無関係に ただスコアの相場を押し上げただけの浅薄なゲームデザインとなり、不必要なスコアのイ ンフレ化をもたらしました。
大まかにではあるにせよ、ゲーム間のスコアの比較でどれだけゲームが上手くなっている かを把握できていたものですが、このスコアのインフレ化によりそれも掴みにくくなりま した。10万点台、20万点台に乗せるのがまず第一歩と思っていたのが、それがいとも簡単 に1面で出せてしまう。どうも納得がいきません。それにスコアが肥大化すれば、10点台 の意味もあまり無くなってしまいます。
フリッキーでは、基本的にはそれほど違和感のないスコア設定で、それに不似合いな100万 点という巨大なボーナス点が設定されていましたが、これは冷静に考えるとそう違和感の ない物であると自分なりには解釈しています。
どういうことかというと、冒頭に書いたとおり、フリッキーというゲームはパターン化ゲ ームの中でもかなり完全パターンゲームに近い構造を持っており、面も基本的構造は同じ でチョロが速くなって行くだけで3周まで行けば後は同じです。また、2周目以降は1周 目のパターンをほんのちょっと改善するだけで出来てしまいますので、極めればノーミス でカンストを達成することも可能です。そして、それは隠れキャラボーナスを一切出さな かったとしてもかなり可能であることを意味します。
実際、私自身も通常のゲームで1ミスでカンストを達成していることを考えると、仮に総 合計200万点近い隠れボーナス得点が全く無かったとしても、継続してこれを補完すること はそう難しくなかったと考えられます。
ということは、上級者にとっては単にカンストプレイを時間的に短縮できる為の物である と割り切ればそれほど違和感のない存在であるとは言えないでしょうか。また制作した側 にとってもそれで時間短縮してインカムに影響を及ぼさないようにしてあるとも取ること が出来ます。これに加えて、面毎の緊張感に加え、複数面にわたる緊張感をも加味し、意 外性と話題性を持たせてゲームを味付けしている。間違いではなかったと思います。
ほぼ同じ頃のデータイーストの作品に、ミステリアスストーンズというスクロール型のキ ャラクタアクションゲームゲームがありますが、このゲームではなんと1億点ボーナスな るものまで存在します。ここまで来たらもう何をか言わんや…ではありますが。
フリッキーのカンストは、私自身も達成しましたが、最初に見たのはもちろんチャレハイ 誌上が先です。しかし、そこには妙に腑に落ちない点がありました。スコアが、必ず9,899,999 点と百の位だけが必ず8なのです。ゼビウス式なら9が揃い踏みするはずだし、位取り前 ならもっとまちまちな半端なスコアになっているはず。しかし、この目で見て確かにハイ スコアはその数字で止まってしまうのでした。なぜかは、よく知りません。
このゲームも、他のセガのゲーム同様動きに癖がありました。親鳥は、空中、着地中に限 らず横方向の動きに少し慣性がつけてあり、すぐに方向転換が出来ません。また細かい迷 路状の面では壁にぶつかるとこれが作用してちょっとしたパニック状態に陥ることもあり ます。そのため、上級者になるには、非常にデリケートなレバー裁きが時として必要とな りました。
ペンゴの時代から苦手なセガ・ブランドでしたが、このフリッキーでその苦手意識も払拭 されたような気がしました。その後、同じ様な趣向の三輪さんちゃん(Trycycle San)と いうゲームも発売されましたが、あまり出回らずヒットにいたらなかったことは非常に残 念です。こちらは、どちらかというと幻のゲームとなってしまった感すらあります。
当時、私は目にしていませんが、同人誌BGMではパターンを纏めたりもしていたようです。 私も機会が在れば、自分なりのリプレイをどこかで書き留めておきたいと、今更ながら思 ったりもしています。
完全パターンゲームというのは、それが出来るまでは非常に熱い分野ですが、その性格上 比較的息が短くなってしまう帰来もあります。しかし、このフリッキーは、綺麗な背景、 可愛らしいキャラクターといったキャッチーなビジュアルシェル、繊細かつテンポの良い 操作感、隠れボーナスという話題性で我々ファンを喜ばせてくれた良質のパターンゲーム でした。
2002.04.24(ed.2)
2002.04.08(ed.1)