UPLは、正確にはユニバーサル・プレイ・ランドといいます。ここで既にピンと来た方もい るかも知れません。既にMr.Do!の章でユニバーサルというメーカーが出てきました。この UPLは、このメーカーの関連会社で、ユニバーサル同様オリジナリティの高い良質のアーケ ードゲームを幾つかこの世に残しました。
私は、NOVA2001というマルチスクロールのシューティングゲームで、このメーカーに興味 を持っていました。このシューティングは、難易度がそんなに高くなく後半ちょっと飽き てくる部分もあったのですが、統一化されたデザインのキャラクターや色使い、あるいは 操作方法などで独特の雰囲気を出していた作品でした。
忍者くん 魔城の冒険(Ninja-kun/UPL 1984)は、そのUPLが送りだしたキャラクターアク ションゲームの傑作です。
主人公は、忍者。このゲームは、個々のキャラクターが本当に綺麗にデザインされていま す。この忍者くんは、2方向レバーで操作され、歩きながらレバーを入れるとその方向に ナナメジャンプをします。また、高さのある位置にいるときにジャンプボタンを押すと真 下に落ちることが出来ます。前作のNOVA2001でもそうだったのですが、ここでも操作系が ちょっと変わっているような気がします。ナナメにジャンプしていく様は実際やってみな いと実感できませんが独特のリズムがありました。
面構成は、伝統的スタイルに若干のアレンジが加えられています。3面構成で敵キャラク ターが変わっていき、その間にややランダムにボーナスステージが入ってきます。という のもボーナスステージは、あるタイムになると落ちてくる宝玉を3つ集めることで次の面 がボーナスステージとなるので、うまく行けば3面毎、下手をするなかなか3つ揃わない と行ったこともあるからです。
忍者くんでは、各面1種類の個性溢れる敵キャラクターが出てきます。忍者くんは、これ に対して手裏剣で対抗します。最初の3ステージに登場する敵は、黒子です。この黒子も 手裏剣を撃ってきます。敵は手裏剣を当てればやっつけることができますが、忍者くんが 敵にぶつかることによってこれを気絶させることが出来ます。気絶している間は、敵は数 秒間攻撃してこないので、安全に倒すことが出来ます。これは、重要な基本テクニックで あり、また後半では、面クリアのための必須テクニックとなっていきます。
ただ横からぶつかるだけでも敵は気絶しますが、通常特に後半では正面から敵が武器を放 ってくるため、上の段に居る敵に向かってナナメジャンプで下から当たっていくか、下に 居る敵の上に落ちるという方法が必須テクニックとなります。特にナナメジャンプ&間髪 入れず即手裏剣が、忍者くんの基本手順です。
敵を倒すとその跡に巻物が残り、これを集めることが出来ます。面クリア時にこれは点数 に換算されますが、巻物にも特殊な物があり、1つがお姫様で巻物を2倍にする効果のあ る物であり、もう1つが坊主でこちらはその時点での巻物を全て没収されるという物です。 巻物狩りは、坊主めくりであったというわけです。
また、このゲームはタイム制で、クリア時にこの残りタイムがボーナスとして換算されま す。タイムがゼロになると永久パターン防止キャラの炎が上から降りてきます。タイムが 無くなっても即死ではありませんが、かわし続けることはほぼ困難です。
1面にいる敵は、8匹。このゲームでは、上下方向にスクロールする数段に区切られた山 やお城が舞台となっていますが、その最上段にボスとなる1匹が待機しています。敵の数 が少なくなってくるとこのボスも下に降りてきますが、見かけ上なんの区別もないこのボ スは若干アルゴリズムが変えられてあり、攻撃もこころなしかきつくなっているような気 がするので要注意です。
2クール目の敵は、ダルマです。このダルマは鎌状の手裏剣を放ってきますがこれは敵と の位置関係次第では直線ではなくカーブを描いて向かってくるので注意が必要です。従っ て、黒子の手裏剣みたいに相殺することが難しいのです。ただし、この動きさえ見極めれ ばそう難しくない敵といえます。
3クール目は、武道家のような白い服を纏ったカブキと呼ばれる敵です。なんとこれは放 物線を描く爆弾を放ってきます。最初に見たときは、非常に驚いたものでした。宙を舞い ながら数個の爆弾を放ってくるカブキは見ようによっては滑稽な感じもしますが、甘く見 ると放物線を読み切れず爆死してしまいます。
4クール目の敵は、カミナリ小僧が雷で攻撃してきます。身内ではテンちゃんと呼ばれて いたこの鬼っ子の放つ雷は、直線的な武器ながら非常に素早く、まさに電撃を浴びせられ るような感じで油断しているとすぐにやられます。直線で飛んできますが、非常時以外は 手裏剣で全て相殺しようとするのはやめた方が吉です。なるべく、正面に対峙しないよう にして倒すようにします。
5クール目は、獅子舞です。主人公が忍者だけに、ダルマや獅子舞といった和風のデザイ ンの敵キャラが非常によい味を出しているのですが、この獅子舞は炎を放ってきます。炎 はある距離飛んだあとある一定時間その場所で燃え続けます。忍者くんの身動きが取れな くなる前にうまく誘導することが大事です。
6クール目は、ガイコツです。この敵の放つ短剣は非常に速く、またカミナリ小僧の電撃 と違って長距離砲なので、交わすとしたら必ず上下方向に逃げなくはなりません。特に、 上部から落ちてきながら短剣を放つガイコツには、やられることが多いので要注意です。
7クール目は、トカゲです。パッと見カワイイ感じのするトカゲですがコイツの放ってく る火の玉は上下にユラユラ揺れながら向かってくるので、うまく手裏剣が当たらないこと がよくあります。意外とこの動きに惑わされるので強敵です。最初の頃、身内ではツチノ コと呼ばれていました。
8クール目の最後の難敵が、ヨロイです。文字通りヨロイに包まれていて、普通に手裏剣 を当てても死にません。最初に見たときは驚きましたが、これは一旦気絶させて手裏剣を 当てると安全に殺すことが出来ます。また、通常でもヨロイの効いていない部分(大まか に言うと首の辺り)に手裏剣を当てられればやっつけることができるのも後に分かってい きます。しかし、敵の動きもなかなかのもので、最後の敵として相応しい強敵でした。
ボーナスステージでは、お城の屋根の上に配置された玉を取っていくだけのものですが、 移動のパターンが出来てしまえば特に問題はありません。
忍者くんでは、この8種類のキャラクターが実に多彩で、また命のある動きを見せてくれ ます。
忍者くんは敵を気絶させることが出来ると書きましたが、実はその逆のケースもあるので す。敵が真上から落ちてきたり、下からジャンプしてきたりすると、忍者くんも気絶しま す。この間動けず全く無防備になるので非常に危険です。敵の動きが生き生きしているの でこちらも常に動いていなければならず、敵との駆け引きが存在します。
敵は連係プレーをしているのではないかといったことすら見せることがあります。例えば、 こちらが敵を気絶させようとして真下に落ちるとき、逆に下から突き上げられ、浮いてい る状態の数秒間の無防備の状態の所に、上から落ちてきた敵がタイミングを見て攻撃を仕 掛けてくるなど、実に小憎らしい動きを見せます。
1面に8匹の敵。またゲーム中8種類の敵。そういえば、同系列のユニバーサルの名作 Mr.Do! ではやはり同じく1面に8匹の敵でした。キャラクターに命を吹き込むアルゴリズムの成 せる技。なにかふと感じるものがあります。もしかしたら、この2つのゲームを作った人 は同じ人ではないかと思うのも不思議ではないですよね…
毎回のように変化のあるゲーム展開にこのゲームの虜となってしまったのは私だけではあ りませんでしたが、強敵ヨロイの24面をクリアをした後もこのゲームでは、更なる驚きが 用意してありました。
25面からは、新しい敵キャラが出てくることはないのですが、今まで出てきた敵が混在し て出てくるようになります。それぞれ使う武器が違うわけですから、火が燃えるわ、短剣 は飛んでくるわ、爆弾は落ちてくるわと、避け方も少し考えないといけません。
しかし、それだけで終わりませんでした。さらに後に面が進んでいくと、とんでもない仕 掛けが仕組まれていました。ボスと思われるキャラクターでクリアだと思っていたそのと き、敵はとてつもない技を繰り出してきたのでした。
秘技!分身の術!
なんと、敵が分裂してまた8匹になってしまいました。これは、もうゲームデザイナーの センスに脱帽というか、既にレバーを握りながら笑うしかない状態でした。そして、その 敵に手裏剣を当てても死なない。それはそうです。分身の術なのですから。しかし、よく 見ると明らかに他の者とは違う動きをしている1匹が居ることに気付きます。本体はこれ だ。しかし、なかなか本体をしとめることもままなりません。予想通り、本体をやっつけ ると分身は消え、その敵は奈落の底に落ちていきました。
その後も、この変化に富んだゲームを毎日の日課のようにやり込んでいきました。何度や っても飽きないというのは Mr.Do!とも共通する点で、ビジュアル的には、こちらの方が 後発のため、こちらのゲームは非常に綺麗な作りになっていました。現代では、アニメ調 の大きなキャラクターやポリゴンといった大味な作りも一部に見られますが、当時は、数 ドット、十数ドット規模で如何にうまくキャラクターを作るかといったことが試された時 代であり、この忍者くんでは和風で統一されたゲーム観、NOVA2001で既に見られていた、 金色・銀色という特殊な色使いなど、非の打ち所がなかったように思えます。
核になるゲーム性・ゲームバランスと、テーマとなるビジュアルシェル、どちらの観点か らも完成度の高い作品だったと思います。
そして、ちゃんと名作に相応しい隠し味も用意されていました。
例えば、シークレットボーナスです。バーニンラバーのノークラッシュや、エクセリオン のシングルショットオンリーなどと同じ様な仕様が隠されていました。それは、1発必中 で8匹の敵を全て倒すとボーナス点が入るというものです。無駄撃ちが出来ない分、プレ イの難易度が非常に上がりますが、上級者はまずこれを狙ってプレイします。高次元面で はなかなか狙うことが難しいですが、慎重にプレイしていると狙っていなくてもたまに偶 然出来たりして、思わぬ高得点を上げることもありました。
また、この面クリアのシークレットボーナスを逃した人でも、気軽にチャレンジできるの が、敵の死骸を撃つことで入る1000点ボーナスです。これは、敵をやっつけた後、それが 下に落ちていくのを追い掛けながらそれを撃つと1000点というキャラクターに変わり、さ らに1回撃つ毎に1000点がどんどん入っていくというものです。最上段から同期を取って うまく落ちながらこれをやり続ければ、数千点が入ることもあるという隠しボーナスでし た。
ゲームをやっていて、なにげに放った手裏剣が偶然死骸に当たることもあるでしょう。見 つけることもそう難しくない隠しボーナス。うまい味付けだと思いました。また、この1000点 は銀色に光るので見た目も美しく、得点という意味だけでなくこれを見たいがために狙い たくなるのです。
忍者くんは、巨大キャラも出てくる阿修羅の章などの続編も作られますが、コンパクトに 仕上がっているこの初代忍者くん魔城の冒険で完結しているように思われます。
UPLは、この忍者くんの後も、ペンギン君ウォーズ、レイダース5と非常に個性的な作品を 生みだしていきますが、本当にセンスのあるゲームデザイナーを抱えているのだなと思わ せました。ナムコやコナミといった大きなメーカーにももちろん素晴らしい作品群があり ますが、UPLは、私にとってはナムコブランドに匹敵する大きな評価を与えたい存在であり ます。
その後 UPL及びユニバーサルは、アーケードゲーム業界から姿を消しますが、80年代に送 り出した作品群は、アーケードゲーム史に明らかに一つの歴史を残したと確信しています。
2002.04.24(ed.2)
2002.04.11(ed.1)