思わず歌いたくなるようなBGM、ほのぼのとしていて居ながらしっかりとしたゲーム性で我 々の心を掴んで放さないキャラクターアクションゲームの傑作がマッピー(Mappy/namco 1983) です。
実際には、マッピーのBGMには歌詞が付いていたという事実もあり、本当に歌っていた人も 居たかも知れません。
元々は、迷路探索のロボット(といっても20年前でいうロボットですが)であった、マイ クロポリス、マッピー。それが、仲間のニャームコとともにテレビゲームの画面に登場し て、ドタバタアクションを展開するというアイテム回収型のゲームです。
マッピーに対しては、ナムコブランドとしては同じ頃ゼビウスと共に凝りに凝ったゲーム で、その分思い入れも非常に強いゲームです。ベーマガの付録にあったマッピー特集もま さにタイムリーでした。
そういうマッピーですが、このゲームはニャームコ達が盗んでいったとされる10個の盗品 を取り返すといった内容で、シグマのポンポコやジャレコのシティコネクションなどと同 様のドットイートの発展系とも言える当時よくあった形式のゲームです。このマッピーを ユニークに仕上げている要素が補助移動手段としてのトランポリンの存在です。
画面は、左右に若干スクロールしますが、基本的には拡張固定画面形式で、実質の広さは モニターの2倍の広さです。その画面は横からの視点で5段のフロアがあり、それが横に 3つ並んだ形、もしくはそれを変形した形になっています。その間をトランポリンで移動 しなければならないというのがこのゲーム最大の特徴です。床を歩いている時にニャーム コやミューキーズに触れると死んでしまいますが、トランポリンで跳ねている間は死ぬこ とはありません。
このトランポリンは、最初は緑色で表示されていますが、1回跳ねる毎に青、黄、赤と色 が変化していき赤色のトランポリンでは跳ねることが出来ず最後に破れてミスとなってし まいます。これを防ぐためには、一度任意の床に着地しトランポリンを初期状態に戻す必 要があります。
盗品には、ラジカセ、テレビ、パソコン、モナリザ、金庫が各2個あり、同じものを連続 で取っていくと、2つ目に取った物に関してはこれに倍率が付き最高6倍まで上がります。 後半の面でのコンプリートは難しいですが、序盤ではこの方法で得点を稼ぐのも一つの手 です。
屋敷には、敵を攻撃するためのフィーチャーが幾つか設定されていますが、まず基本的な のはドアです。普通のドアはボタンを押すことにより開け閉めが出来、これを使って敵を 気絶させることが出来ます。また、1面に4つ特殊なパワードアというものがあって、こ れを開くとマイクロウェーブがノブ方向に飛んでいき敵を殲滅することが出来ます。これ は、単に敵を一掃する効果だけでなく、敵を多く絡めたほど得点が跳ね上がるというのも 魅力です。
ラウンド構成は、この時代の伝統的形式に従って、2面終わったらボーナスステージ、以 後3面毎にボーナスステージがあり、最大256面(0面)まで進行していきます。ボーナス ステージは、1周16面構成に従い4面しか用意されておらず、上手くなってくるとやや飽 きが来ます。マッピーに敢えて難をいうならば、このボーナスステージの数の少なさくら いでしょうか。このボーナスステージは、空中にある風船を割っていく面で最後の風船だ けが点数が高く設定されており、パーフェクトで1万点がもらえます。
ゲーム展開は、大きく分けて4つのパターンがあります。最初の1クールは、基本的な、 3分割画面で、床が細かくされているのでクリアも比較的容易であり、後半でもやりやす い面が続きます。パターン化も容易です。
2クール目は、長い床で構成されていて、敵が速いステージでは、追い付かれないように 気を付けなければならない面が続きます。特に中央の長い床にあるテレビを取りに行くと きは注意が必要で、ここをうまく取るパターンを作り上げることがポイントとなります。
3クール目では、新しいフィーチャー、鐘が出てきます。左右のトランポリンの真上に鐘 が吊されておりこれを落とすことで敵を気絶させることが出来ます。画面は3分割の基本 構成ですが1クール目よりはやや難しいかと思います。
4クール目は、落とし穴が出てくる面で構成されており、1周最後と言うことで難易度も 高いです。左右の袋小路になっているところの金庫がネックで、しかも敵をはめるための 落とし穴が逆にこれに荷担しているようになっていることもあり、パターン化をうまくや らないと連続で死ぬ場合もあります。
4クール終わると、2週目に入り同じように続きますが、敵の動きが速くなり、これが3 週目まで上がっていきます。マッピーは、完全とは言えないまでもパターン化の必要なゲ ームです。ミューキーズの動きが非常にパターン化しにくい為大まかなパターンゲームと なります。逆に、完全パターンゲームでないところが、若干のアドリブを必要とするため このゲームを飽きさせない物にしているかも知れません。
床の上で、ニャームコやミューキーズ達に触れるとミスとなりますが、ニュームコに関し ては少し例外があります。まず一つ目は、ニャームコが盗品に重なると一旦隠れるといっ た現象でこのときマッピーが盗品に触れても取ることが出来、また背後のニャームコにや られることはありません。それどころかこの時ニャームコから1000点ボーナスを貰うこと が出来ます。
二つ目は、未使用のパワードアに突き当たって反転してくるニャームコに触れても、死な ないというフィーチャーです。これがどういう理由の産物なのかわかりませんが、パワー ドアにニャームコを掛けると、そのときの点数が2倍になるといった要素があるので、そ れを出しやすくするためのユーザーフレンドリーなサービスだったのかも知れません。
このニャームコには、パターン化に当たっての重要なヒントが隠されています。その動き には一定の分かりやすいアルゴリズムが存在すると言うことです。これは、ドアに跳ね返 ったときの場合も含め基礎知識として頭に入れておく必要があります。
また、マッピーでは、ある一定時間経つと永久パターン防止キャラのご先祖様が出てきま すが、高次元面では通常にプレイしていてもこのご先祖様が出てくるほどシビアになって いくので、実際問題としてどんなにうまくてもアドリブだけでは高得点は難しいからです。
パターン化をかなり強化すれば、ノーマル設定での1000万点も夢ではないかも知れません。 「かなり」と強調するのも、ディグダグやゼビウスと違ってこのゲームの標準設定は、ラ ンクAの2万、7万エクステンドであり、ファンの意表を突くノンエヴリのゲームだったか らです。常連の居るゲームセンターでは、7万エブリの準標準とも言うべき設定でプレイ していた人も居たようですが、その設定では実際1000万点も出ていました。
不確定要素のやや大きいマッピーでは、ノーマルでの1000万点はかなり難しいはずですが、 私自身それが不可能とは言えない場面も目撃したこともあります。いきなり時代は飛びま すが1996年頃東京秋葉原のとあるゲームセンターで名古屋へ帰宅の時間調整をしていたと きに、ノンエブリと思える台で数百万点を叩き出しているプレイヤーを目撃したからです。 少しプレイを眺めていると、ご先祖様が出てきてもかなり長い時間粘るなどその腕の程は 私の目にも明らかでした。
私自身も、どうしてもこのマッピーでの1000万点を達成したくて、その話を仲間とも時折 話題にしていたのですが、イエナガに卸していた業者の人とも顔馴染みだったので、どう やら仲間がエブリエクステンドにしてもらえないかそれとなく頼んでいたようです。そし て短期間ではありましたが、8万点エブリの台として設定されたのが1985年でした。
この台で、3週目以降の後半の面にも慣れて、そろそろ挑戦する時期に来たと思っていた 頃、その日は私自身でも予想外の日にやってきました。その日の前日、既に新風営法で午 前0時閉店となっていたイエナガを後にして、すぐ近くの Yoshida氏の下宿に遊びに行き ました。そこで、朝まで徹夜した後、午前7時には店を開けるイエナガの前を通ると、な ぜか自分の下宿に帰らずに店に吸い込まれていきました。
マッピーというゲームは、ゼビウスに比べて得点効率が悪く、どんなに頑張っても12時間 以上は覚悟しなければならないというゲームでした。1000万点を達成するには、ほぼ開店 開始に近い状態で始めることが前提で、その日運試し的に気楽にどこまで行けるか試して みようとふと思ったのでした。
私自身のパターンは、それほど完成度が高くなく、8万エブリをギリギリなんとか耐える 程度のもので、確実性がないので練習といった意味もありましたが、その日は途中最高10 機以上のストックも貯めることが出来、もしかしたら今日やれるかも知れないといった感 じに気分が移ってきました。
夕方近くになると、点数も700万点を越え、気分も高揚してきましたが、逆に前夜の徹夜の せいで眠気も襲ってきました。マッピーは、256面を越えると元に戻ることは、既に自分で 確認出来ました。最初に戻ると簡単になってまたストックが溜まりそうな感じがしますが、 高次元の凄く速いゲーム展開に慣れきった状態でこの遅い面に戻ると、意外と死んでしま ったりします。速さのギャップによる読み違えが起こりやすくなるのです。
そして、眠さのあまり、マッピーがやられたSEで目が覚めるといった極限の状況を迎える に至り、ついにストックが5機を割ってしまいました。マッピーでは、ストックの最大表 示が5機でそれ以上は隠れてしまうので、よく数えていないとストックが何機在るのか分 からなくなってしまいますが、4機になった瞬間これはまずいと思いました。しかし、眠 気はイマイチ冴えず、微妙な残機のまま気力でそれを乗り越えようとゲームを続けました。
夜になると、パチンコ帰りの仲間も来て、それを機に眠気も覚めてきました。話すことで 気も紛れ、また得点も1000万点が間近になってきたとあって、再度気分が高揚してきたか らです。H.M氏やYoshida氏、M.T君等に見守られながらついにマッピーにおける無限増えを 迎える瞬間までなんとか漕ぎ着けました。ゼビウスの時に、無限増えは1000万点直前の最 終エクステンドに始まるという法則が立証されています。マッピーではどうか?
予言通り、無限増えが始まりました。トランポリンで10点入る毎に1機増える快感。
この時実質の1000万点ゲームが確定しました。256機でゲームオーバーにならないようにだ け気を付ければ良いわけです。
ナムコブランドとしては、ゼビウス、ギャプラスに続く、自身3つ目の1000万点ゲーム。 大好きなゲームだけに、その嬉しさは先に達成していたギャプラス以上のものがありまし た。
その後、マッピーは、標準設定に戻され、間もなくイエナガからも姿を消します。しかし、 その後もゲームセンターでマッピーを見かけたら必ず1ゲームはプレイするようにしてい ます。当初の目標であった標準設定での100万点は達成していなかったし、何度プレイして も面白い好きなゲームですから、ファンとしては当然の行為です。
完全パターンでないが故に、ドアや鐘、落とし穴を駆使して、敵と繰り広げるコミカルア クションゲーム、マッピーは、耳からは慣れない秀逸なBGMとともに私の記憶から永久に消 えることはないでしょう。当時のナムコブランドには、強烈なBGMを残すものが他にもあり ましたが、私自身生涯No.1BGMを挙げろと問われたら、恐らくこのマッピーを推すことで しょう。
マッピーでは、ベーマガの別冊創刊号で有名になった数多くの大業小技が知られています。
小さいものでは、マッピードア挟み、赤トランポリン抜け、トランポリン引き抜き、ニャ ームコ看板ずらし、マッピーの亡霊など。また落とし穴を途中まで行って戻ると起こる時 限開けを利用したミューキーズの化石化現象などもありました。
そして最もギャラリー受けのする大技が、マッピーの空中制止でしょう。これは、14面( あるいは、高次元面に置いての同じ形式の面)の左にある落とし穴を使って行いますが、 まず時限開けを仕掛けておき、穴が空いたらその床に向かいます。着地後すぐに穴と反対 の方向にレバーを入れるとそのまま真下にマッピーが落下し、その位置で跳ねるようにな ります。そして、見た目の画面と実質の座標にずれが生じ、空中でさらに右にレバーを入 れると空中で制止できるという技です。
この技は、単なるギャラリー受けというだけでなく、上級者にとっては実際に使い甲斐の ある技でした。10時間以上にも及ぶマッピーの1000万点プレイでは、この技を使うことに よって自由に休憩をすることが出来るからです。私自身がプレイした写真を オマケとして載せておきますが、この技を使うとご先祖様が出てきてもその下で左右 を行ったり来たりするだけで、事実上の完全永久パターンに陥ります。つまり、マッピー をその位置から動かさない限り永久に終わりません。
つまり、この時間を使って食事でも何でも自由にすることが可能なのです。理論上は、こ れによって個人で2000万点以上でも出すことが可能です。ゼビウスでは、残機潰しちょっ とジュースを買いに、などといったこともたまにありましたが、マッピーではゲームに支 障無く休憩を取ることが出来ます。
ただし、このパターンにはめる前に、ミューキーズがマッピーの後をぴったり付いてきて 死ぬはずのない空中(内面座標的には床の上)で捕まってしまうと言うこともあるので気 を付けて下さい。
トランポリンを基本フィーチャーとしたこのマッピーは、今から振り返ると非常にユニー クなゲームであった事も分かります。私的には、シューティングのゼビウス、キャラクタ ーアクションのマッピーは、80年代ナムコブランドの双璧といった存在であり、私のアー ケード史に大きい存在として残っています。
余談ですが、3月の終わりに名古屋駅の近くでゼビウスの一時入荷を偶然発見しました。 そして、その系列店が別にあることをインターネット上で見つけてからそこに実際そこに 足を運ぶとなんとマッピーが置いてありました。非常に懐かしく思いましたが、よくよく 見ると10万点エブリ台でした。
営業時間上、このロケーションで1000万点を出すことは難しいですが、時々足を運んでプ レイしたいと思います。去りし、古き良き時代を懐かしむために。
2002.04.24(ed.1)