今回紹介するゲームを送りだしたテーカンというメーカーの名前を知っている人は、もし かすると少ないかも知れません。しかしスターフォース(Star Force/TEHKAN 1984)とい うゲームの名前ならよく知っていると言う人は多いのではないでしょうか。
テーカンは、スターフォースの他にも独特の操作感を持つキャラクターアクションゲーム のボンジャックやシューティングゲームのセンジョウといった作品で知られる古いアーケ ードメーカーですが、現在でもテクモと社名を変えて息の長い活動を続けています。
スターフォースは、アーケードゲーム全体から見ても他に引けを取らない縦型スクロール シューティングのヒット作ですが、この分野では既にナムコのゼビウスといった歴史的金 字塔を始めとして、多くのメーカーから作られアーケードゲームのこの時代における一つ の主流を形成していました。その中でやはり多くのプレイヤーの指示を得たというのは、 それなりの魅力があったのだと再認識されます。
ゼビウスと比較するなら、このゲームの最大の特徴は、一つのショットボタンで空中の敵 も地上物も攻撃できるという単純さでしょうか。実際のイメージとしては、こういう攻撃 のやり方はあり得ないのではないかと言えますが、そこはゲームの世界ですから、そうい う設定のものだと言われればそれまでです。
この単純さが、基本的には、敷居の低さにも繋がり、また爽快感にも繋がってファンを広 げていたと言えるのです。
このゲームは、ポストゼビウス世代ということもあり、やはり少なからず影響を受けてい ます。隠れキャラクターや隠れボーナスといったフィーチャーももちろんですが、ゲーム 本体以外の所でもスターフォースの各キャラクター名を記したミニパンフを配布してみた りと背景面も語るといったこともその影響の一つといえます。
スターフォース攻略マニュアルというそのミニパンフを見ると、キャラクター紹介では、 ティッタ、ゾフ、メーウス、オブセス、ロペ、リーバ、キリ、フェラー、等々事細かに ネーミングされてあり、プレイヤーがキャラクター名をオリジナルの名前で呼ぶという ノリに一役買っています。これらのキャラクターは、その動きも明確に区別できるように 幾何的に特徴付けられていました。
またストーリー紹介では、「時空歴2010年暗黒の宇宙を、殺戮と掠奪を繰り返しながら進 む浮遊大陸があった。暗黒星ゴーデス。誰もがその圧倒的な力に希望を失いかけた時、勇 敢な一人の戦士がスペース・パトローラーに乗り込み、闘いを挑んだ。人々はこれを『フ ァイナルスター』と呼んで最後の期待をかけるのだった。今こそ2000年の永きにわたる闘 いにピリオドを打ち、ゴーデスの謎の正体をつきとめろ!」とあります。
ゼビウスのファードラウト伝説ほど大掛かりではないものの、このようなストーリー性を 感じさせるような簡単な背景を語るといった要素は、この時代のゲームにはよくあったこ とで、人によっては動機付けの一部を担っていたのかも知れません。
連続スクロールですが、ゼビウスと違って、エリアがギリシャ文字で記されており、独特 の雰囲気を醸し出していました。また、攻撃面でもしっかり区切りが付けてあり一息つく ことが出来ます。連続でありながら面クリア的なイメージのあったゲームでした。
エリアは、αに始まりΩで終わりますが、以後∞という表示に移り、地形パターンはロー テーションしますが、実際はこのエリアは敵をどれだけ倒したかを内部的に計上した上で 更新されると行った特殊な進行の仕方をしていました。従って、これを逆手にとって敵の 倒し方をある程度コントロールする事が出来たのです。実際、上級プレイヤーになると、 特定の場面でこの空中物などをコントロールしボーナス点を取りやすいようにしたりしま す。
地上には、Bやbと記されたキャラクターがあり、これの破壊数はエリアの終わりにボーナ ス点に、換算されました。
小冊子、攻略マニュアルには、このほかにもいろいろなプレイヤーに有益な情報が掲載さ れていますが、例えば、ゼビウスのソルバルウ同様ファイナルスターにもサイドアタック 能力があるとか、画面上に表示される敵の数は標準で最高15であるとか、敵の弾は全て自 機に向かってきて、斜め方向の弾が速く上下方向の避けが有効であるとかいろいろ書いて あります。
また、エリアの最後のエリア名を冠したアルファ・ターゲットに関しては、これを攻撃し ない限りエリアは完結しないとあり、また出現の条件が地上ターゲットを2、敵機を1と して合計250ポイントに達すると出現するとあります。またクリアできないと、さらに160 ポイント破壊しなければならないと書いてあります。
また、このマニュアルでは、アルファターゲットの初動の左右の動きは、「画面上にヒン トがある」とそれこそヒントのヒントだけが書いてありますが、これは実際は得点の10の 位が奇数か偶数かという部分を見れば判断がつくとことが後々判明しました。
リアル思考のゼビウスに対して、グラフィック面でも対照的で、敵のデザインも幾何的な 物体と割り切って描かれてありましたが、反面元々「金色」でプレイヤーには語り継がれ ているテーカンは、地上物や背景などではその独特の輝きを持たせた配色で、ゼビウスと は違った演出の仕方をしていたことは流石だなと思わせました。
また、自機の速さもストレスがないものでゼビウスでの先読み的な避けから、即興的な避 けでもなんとかなるという部分も爽快感を増していたと思えます。
スターフォースは、攻撃面では若干の連射力のパワーアップも取り入れられていましたが、 このゲームでは、その連射が非常に重要な要素を占めることになります。それも、この機 能による連射というよりは、素手による連射スキルの重要性でした。これは、ハイパーオ リンピックという全く分野の異なるゲームからの触発ではないかと思えるような発想でし た。ちなみに、このパワーアップの元になるパーサーは自機の下の方に付き、この部分に は当たり判定がないと言うことはちょっとした知識です。
ラリオスという、ボスキャラ的存在は、合体という動きを見せますが、その中心となる部 分をあるタイミングの後に合体前に8発打ち込むことが出来ると、隠しボーナス点が入り ます。打ち込みが遅かったり、失敗したときの逃げるタイミングをちょっと誤ると、即死 ですが、連射スキルを簡単に試す場として設けられてありました。
しかし、ラリオスの例はまだ序の口で、ジムダステギという耐久力のあるパネルみたいな 地上物が連続で並ぶこのスターフォースでの特徴的な場面では、ある個数連続で壊してい くと、またまた隠れボーナスが入るという設定がされていました。特に、長い場所では、 このボーナスを1カ所で連続2回取ること出来るなど、破格のサービスでしたが、それに は、まさにハイパーオリンピックで鍛えられた高度な連射力が必要で、常人ならば必ず途 中で撃ち漏らしが出てリセットされるといった難度の高いスキルに見合ったボーナス点で した。
空中物の攻撃を避けながら、連続15個しかも2列並んだ片側だけを壊し続けるというのは、 非常に緊張感と連射力の持続を要求され、このゲームの大きな見せ場を作りました。
後にカプコンという後発メーカーから出るエグゼドエグゼスのような耐久シューティング 初期における代表みたいなゲームとゼビウスのような非耐久型の中間に位置するこのゲー ムは、通常敵には耐久力を持たせず敵を殲滅する爽快感を与え、またジムダステギやラリ オスのような場面では耐久力+隠れボーナス点を設定するといった面白い二重構造をして いたと思えます。
耐久力キャラといえば、エクステンドもこれに絡めてありました。地形上で繰り返し出て くる?と記されたパネル状キャラ、マジッカが並んだ場所があります。これが実は数発打 ち込むと捲れてその数枚のある1枚がエクステンドというものでした。地上パターンは、 長期的スパンで見ればローテーションするので、構造上は非有限型エクステンドであった といえます。この辺りも、ゼビウスのスペシャルフラッグ的な位置づけを考えていたのか も知れません。
その道中、このゲーム最大の話題作りを提供していた場所があります。地上には、何とな く意味があるような絵などが描かれており、それが良い雰囲気を形作っていましたが、実 はそれはスペシャルボーナスへの布石でもありました。
象形文字などを使って表されていたようですが、現実問題としてはプレイヤーがこれを解 読してスペシャルボーナスに達するというよりは、結果的には難解な謎を仕込むといった 演出面だけに終わったような気がしますが、ゲームを盛り上げる要素にはなっていたよう です。ちなみに、この文字は「Cleopatra t wben reswt maa kemet」(大まかな表記)と 読まれ「クレオパトラ、喜びが輝き、黒い土地を見る」と解釈するらしいです。
あるエリア内にあるシーラカンスのような魚の絵が描かてあるところがありますがその指 し示す先の一見何もない所を撃ち込むと、ある見慣れないキャラクターが姿を現します。 これを再度撃ち込むと100万点ボーナスが入ります。もちろん、ここにも耐久力が持たせて あって出すにも消すにもそれなりの連射力が必要です。また空中物をうまくコントロール することも重要で、分かっていてもなかなか簡単に取ることが出来ないわけです。
地形がローテーションするので、長い時間プレイしていれば100万点ボーナスも繰り返し登 場します。ちなみに、私が出した299万点という自己ベストは数回目に巡ってきたこのゴー デスの謎の部分でゲームオーバーとなっており、ここでクレオパトラを消すことが出来てい れば得点も100万点違っていたというスコアを非常に大きく左右する要素でした。
このゲームでは、バグらしいバグは覚えていないのですが、自機が画面にめり込んでいく ちょっとした技があったらしいです。
既に紹介した、セガのフリッキーやこのスターフォースなど、桁違いのスペシャルボーナ スというのも、ゲームバランスという面で良いか悪いかは別にしてこの頃のゲームのトレ ンドであったといえます。
この時代、各メーカーから数多くのタイトルがしのぎを削っていた縦型スクロールシュー ティングゲームの中で、スターフォースは確実にプレイヤーの指示を得ていました。ゴー デス100万点の謎やジムダステギでの超連射が大きく語られがちなこのゲームですが、ベー スになる部分もしっかりとした構造だったということも無視できないと思います。
スターフォースは、ゼビウスで広まった2ボタン撃ち分けという進化したとも思えるスタ イルを一度振り出しに戻して、非常にシンプルなシューティングゲームを我々に提示しま した。単純明快さとシンプルな爽快さ、そして耐久連射とスペシャルボーナスといった要 素をうまく組み合わせて成功したシューティングゲームのヒット作だったといえます。
2002.05.04(ed.3)
2002.04.25(ed.1)