シューティング・ゲームというのは、古くからゲームセンターで遊んでいる者にとっては なじみ深いというより、基本アイテムといった方がよいでしょう。シューティングゲーム を通してアーケード・ゲームの基礎反射などを学び取り、一緒に成長してきたとも言えま す。そういうシューティング・ゲームも合体もの、地上・空中打ち分けから徐々に自機の パワーアップという観点からバリエーションが増えていきました。
ムーン・クレスタ、ゼビウス、グラディウス・シリーズといった数々の名作を経て今日に 至る歴史の中で、東亜プランというのは、シューティング・ゲームのブランドとして我々 の心の中に残っています。TATSUJIN(TATSUJIN/東亜プラン 1988)は、タイトーのアンダ ー・ライセンスで徐々に浸透してきたブランドの集大成的な作品でした。
東亜プランの作品が、我々に認知され始めたのは1985年のタイガー・ヘリ辺りでした。こ れはオーソドックスなシューティング・ゲームで一見地味でしたが、安定したゲーム性で 意外に支持されていたと思います。歴史を紐解くと、それ以前にパフォーマン(こちらは DECOと提携)といったかなり個性的なキャラクター・アクションも出していたりしますが、 この後のスラップ・ファイト、そしてロングセラーの飛翔鮫というラインナップを見れば 東亜プランがシューティングゲームのブランドとしていかなる存在だったか分かることで しょう。
TATSUJINは、黒い宇宙をイメージしたバック画面に敵が飛来し、また時折地上物の存在す る陸地が現れるという、一見昔風な典型的な縦スクロール型のシューティングゲームでし た。自機は、選択制ではありませんが、パワーアップアイテムでそれぞれ攻撃力に特徴を 持った3種類のパターンに変化することが出来ます。この3種類という変化、または自機 選択というデザインパターンは、以後のこのジャンルの一つのテンプレートともなってい きます。
基本の赤は、3WAYのパワーショット。拡散系の安定した武器で、自機がやられるとこ の形に戻ります。そういう意味では、この自機に関しては、他のパターンに先だって慣れ ておく必要があります。緑のアイテムを取ると、自機もその色に変化し前方に強い達人ビ ーム装備の自機になります。この武器は、比較的地味な存在となってしまっていますが、 その理由は、次の青装備が強力であるからです。前方には強いのですが、攻撃範囲が狭い ため左右から現れる敵に対処する方法がありません。パターンを熟知していないとハマる 危険性がある自機です。
最後の青色の自機は、強力なサンダーレーザーを装備しています。最初のランクこそ前方 1本のレーザーで攻撃範囲が極小で使いにくいですが、破壊力は抜群で敵にロックオンさ せることが出来るのも特徴です。この装備の使い分けがこのゲームの鍵となっています。 パワーアップすると、3本、5本のレーザーにパワーアップし、近づく敵を一掃でき、そ れこそ無敵となります。レーザーが一面を覆い尽くすため、多少画面が見にくくなり、敵 や弾を見分けにくくなるくらいですが、これをいかにつかいこなすかで、このゲームを楽 に進められるかが俄然違ってきます。
核装備は攻撃力が違う分、敵の堅さをこれに連動させるようにゲームが作ってあるようで、 敵の出現後に自機の変更を行うと、敵の耐久力が青設定のときに赤に変えるととんでもな いことになります。赤の攻撃力で激固い耐久力に立ち向かうことになるからです。逆に敵 の耐久力が赤設定の時に青に変化すれば、弱い敵をたとえ青一本のレーザーでも一掃する ことが出来、復活時の有効な打開策となることもまります。
また、4段階まで早くなるスピードアップ・アイテムもこのころのシューティングには必 須アイテムでした。最低速だとやはり敵の早さを交わせないのは、グラディウス以来のジ レンマですが、幾分ストレスは少ないと思います。後半は、最高速になるのを避けるため にこのアイテムを避けながらゲームを進めることも出来ますが、ものは考えようで最高速 に慣れておいて、ボーナスを取ってかせぎ、なおさら避ける必要もなくスムーズにゲーム を進める、という選択肢も出来るようになります。
また、核装備をさらにパワーアップさせるPアイテムがありますが、これも5つ集めると 1段階装備がパワーアップし、最高2段階アップさせる(デフォルトから数えると3段階 あることになる)ことが出来ます。最大限にパワーアップしていると、やられたときに一 から出直しになるので、わざと2段階目で押さえておいて、P×4状態で進むという消極 策も可能です。しかし、これも先のスピードアップと同じく、Every設定の特性を生かして ストックをつぶしてでもPを取るという考え方ならば、積極策で行く方がストレスは溜ま りません。いずれにせよ、中・上級者向けのやり方とは言えます。
スピードアップ、装備のパワーアップとくれば、あとはボム。これも時々補充することが 出来ます。達人ボムは最大10個まで並びますが、その姿は壮観です。(このゲームの面構 成上それがたやすく見られる面があるのです!)即効性もあって、かなり重宝しますが、 やはり使いどころを考えなければならないのはこのゲームでも同じです。これらのパワー アップアイテムは、必要以上に取ると5000点のボーナスに変わります。スピードのコント ロールがうまい人なら最高速まで行ってこれを稼ぐのはセオリーとなります。
またノーミスでしばらく進むと1upアイテムが出てきます。このゲームは基本的に Every 設定なのですが、これも重宝します。そして、驚くことにさらにノーミスで進むと2up も出てくるのです。ゲーム上必要かどうかは別として、サプライズなサービスと言えます。
このゲームは、作りがオーソドックスではあるのですが、特徴として敵の出現をある程度 記憶しておかないと不条理な面もあります。例えば、真横や真下から敵が出てくるシーン がよくあるからです。そういう意味ではパターン化を必須としたゲームと言うことが言え るかも知れません。
パターン化に関しては、もう一つあります。後の弾幕系シューティングでも必須項目とな る安全地帯です。もちろん過去のグラディウスでもありましたが、このTATSUJIN辺りから 安全地帯の意味合いが変わってくるのだと思います。弾幕系では、それこそ知らないとク リアが不可能と思える場面がありますが、このゲームでも知っていると知らないとでは、 全然違うゲームになってしまうほどの重要性を持ってしまいました。
初心者が、このゲームから撤退するか、ハマって行くかの違いは、まさにこの安全地帯を 知るかどうかによると言っても過言ではありません。そこには、パターン化と反射神経だ けでは乗り越えられない壁が確実にあります。1面から5面まで各中ボスで見られるこの 安全地帯は、もちろんそれだけでは簡単にクリアはできませんが、知っている必要があり ます。
面の構成は、中ボス、大ボスという展開ですが、まず1面目では開始まもなくの最初の中 ボスが挨拶代わりに登場します。2週目以降では意外に苦労しますが、ここでは本当に挨 拶。しかし、次のレーザーを撃ってくる中ボス×3の編隊から既に反射神経とパターン化 の基本が出来ているかが試されます。一言で言えば、固くて早い敵だからですが、ポジシ ョニングを考え、(必要ならば実力に応じて)効率的にボムを使い早めに倒す必要がある のです。
TATSUJINの魅力は、そのサウンドにもあります。ファンから東亜節とも言われるそのサウ ンドは、妙にゲームのシーンとシンクロします。3面目とかの序盤の緊張感などはまさに その代表です。これは、東亜の開発チームは、ゲーム・プログラマーとサウンド・クリエ イターが兼任しているという内部事情にもよるようです。当時、CD化やLD化されたのもこ のサウンドが秀逸だった現れでしょう。
このTATSUJINは、Every設定という古いマニアを鼓舞させる設定で、それこそ目指せ1,000 万点といった目標を掲げることの出来る最後の時代のゲームだったとも言えます。私自身 は、残念ながら900万点台で止まってしまいましたが、ギャラリーに見られながらプレイし たおそらく最後のゲームでした。情報に寄ればカンストは、1億点でゼロが8つ並ぶと聞 きます。また難易度は、32周まで上昇するという話もあって、そうなるとあの960万点の段 階(十数周)でまだ最上限でなかったということになります。今更ながら驚きです。
東亜プランは、このTATSUJINという作品で堂々とメジャーシーンにその名を残しました。 その後も、鮫!鮫!鮫!、VIMANA、またこの作品の続編とも言える達人王、BATSUGUN とシューティングゲームを主軸に展開していきました。(他には、キャラクター・アクション のスノー・ブラザースや落ち物のTEKIPAKIなどもありますが)'80年代終盤以降は、落ち物 ブームに加え、格闘ゲームに押されて、メインストリームから撤退した感もあるジャンルで すが、その後のマニア向け弾幕系シューティングへの系譜のミッシングリンクとして、その 最後の時代を飾ったメーカーとして心に残っています。
2006.04.23(ed.1)